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銅の用途と加工技術|ウエットエッチング加工による高精度微細加工のすすめ

2025.08.22

カテゴリー: 技術ブログ

銅および銅合金は、優れた導電性や熱伝導性を持ち、電子機器や建材、日用品など幅広い分野で活用されています。

銅や銅合金の除去加工としては、切削加工やプレス加工のような機械的な加工が思い浮かぶかもしれません。もちろん、機械的な加工が多用されているのは事実です。しかしながら、微細な製品や高精度な形状の加工、高精度の表面粗さが求められる加工の場合にはエッチング加工がより有用です。

この記事では、銅や銅合金の特徴や種類、加工方法、特にウエットエッチングについて解説します。銅や銅合金の微細で高精度な形状、表面粗さが求められる加工方法を検討されている方のお役に立てば幸いです。

 

や銅合金はエッチング加工できる?

銅や銅合金の加工には、切削加工やプレス加工、レーザー加工など、さまざまな方法があります。より微細なパターン加工を行う場合には、切削加工、レーザーによる加工が可能です。

これら機械的な加工以外に、化学的な加工であるウエットエッチングも有用な方法であり、さまざまな製品が製造されています。

ここで、銅と亜鉛の合金である真鍮の具体的な加工例をお見せします。

エッチング加工 如雨露

根岸産業様の如雨露(じょうろ)の作成のお手伝いをしました。

如雨露(じょうろ)のハス口をエッチング加工にて製作させていただきました。

引用:https://www.chemical-print.co.jp/topics/20240918-01/

 

銅とは?

銅には「純銅」と他の金属などとの合金である「銅合金」があります。いずれにしても「銅」の特徴を持ったものになります。銅は、古くから知られている非鉄金属で多くの産業で使われてきました。銅の特徴は以下の通りです。

 

  • 導電率が高い:銅は、導電率が高いため、電線や電子部品で多用されています。
  • 熱伝導率が高い:銅は、アルミニウムや鉄鋼素材よりも高い熱伝導率を持ちます。熱の移動がスムーズなため、熱交換器や放熱板の素材として好適です。
  • 柔らかく加工しやすい:銅は柔らかく変形させやすいため、曲げや絞りなどの加工にも適しています。
  • 非磁性である:銅は磁性を持たないため、電子機器に影響しません。磁気厳禁である電気機器の測定器などにも使われています。
  • 殺菌作用がある:銅には銅イオンの微量金属作用による殺菌作用があります。硬貨に銅が使用されているのもこの効果によるものです。
  • 光沢や色調が美しい:銅には美しい光沢と色が備わっています。見た目の美しい色調から、装飾品や外装材の素材としても人気です。

純銅とは?

「純銅」とは、工業用に使われる銅であり純度が99.90%以上のものです。純銅にはいくつか種類があります。代表的なものは以下の3種類です。

 

  • 無酸素銅(C1020)
  • タフピッチ銅(C1100)
  • りん脱酸銅(C1220など)

順番に解説します。

 

無酸素銅(C1020)

無酸素銅(C1020)は、純度99.96%以上の高純度銅で、酸素をほとんど含みません。添加元素がないことから、熱伝導性や導電性が非常に高い特性を持ちます。また、高温に加熱しても水素脆化が起きません。粘り気が強いという特性もあり、切削性はあまりよくありません。

タフピッチ銅(C1100)

タフピッチ銅(C1100)は、純度が99.90%以上の純銅で、酸素を0.02〜0.05%程度含有する金属です。導電率と熱伝導率が高く、加工性にすぐれるのが特徴です。ただし、600℃以上に加熱すると、「水素脆性」が起こります。600℃以上の高熱下では水素と材料内部に残っている酸素が反応して水蒸気が発生し、この水蒸気により材料に亀裂が生じる現象が「水素脆性」です。したがって、還元雰囲気下での高温加熱や溶接などには向いていません。

 

りん脱酸銅(C1220など)

りん脱酸銅(C1220など)は、タフピッチ銅の水素脆性の対策を行った純銅です。りんで脱酸素を行っています。りん脱酸銅(C1220)は、純度99.90%以上の純銅です。水素脆化を起こしにくいため、溶接やロウ付けに好適です。また、延伸性も優れており、押し広げ・曲げ・絞りなどの加工にも適しています。

純銅の主な用途

純銅は工業製品に使用されています。上記の3種類の主な用途は以下の通りです。

 

種類 用途
無酸素銅(C1020) 電子・電機機器、熱交換器や化学工業など
タフピッチ銅(C1100) 電気用、化学工業用など
りん脱酸銅(C1220など) 給水・給湯用、ガス管、風呂釜や熱交換器、建築用など

 

銅合金とは?

「銅合金」は、銅にさまざまな金属などを添加してつくられる合金です。古くから知られている非鉄金属で、多くの産業で使われており、私たちの生活の中で役立ってきました。

 

銅合金にはさまざまな種類があります。代表的な銅合金は以下の通りです。添加する金属により特性が変わります。

  • リン青銅
  • ベリリウム銅
  • 黄銅(真鍮)

順番に解説します。

リン青銅

リン青銅は、銅にリンと錫を加えた合金です。高いバネ性と導電性を兼ね備えています。非磁性であることから、端子やコネクターの部品などに用いられます。

熱処理を加えた「バネ用リン青銅」もあり、機械的強度が求められる場合に好適です。

ベリリウム銅

ベリリウム銅は、銅にベリリウム(0.5〜3%)を加えた合金です。熱処理の一種である時効硬化処理を加えることで、銅合金の中で最も高い硬度になります。非磁性であるとともに火花が出ないことから、防爆工具や接点、スプリングなどの材料として用いられます。

真鍮(黄銅)

真鍮は黄銅とも呼ばれます。銅と亜鉛の合金で、亜鉛の含有量が20%以上の合金です。加工性が高く、高い導電性を持つため、電子部品に使用されます。

また、硬貨や楽器などの素材としても使用されています。真鍮は、私たちの身近に多くある金属です。次の章で詳しく解説します。

真鍮とは?

「真鍮(黄銅)」は、銅合金の中でも私たちが生活する上でよく使用し、目にしている合金です。真鍮製のドアノブや調度品を目にすることが多いでしょう。

 

真鍮にはいくつか種類があります。まず、真鍮には亜鉛の含有量が異なる以下の3種類があります。なお、最初に述べたように真鍮は黄銅とも呼ばれており、JISの正式名称は「黄銅」ですので、材料名は黄銅です。

  • 黄銅1種(C2600)
  • 黄銅2種(C2680)
  • 黄銅3種(C2801)

さらに、銅と亜鉛以外に添加物を加えたものがあり、快削黄銅(C3713)と呼ばれる合金です。

 

順番に解説します。

黄銅1種(C2600)

黄銅1種(C2600)は、銅と亜鉛だけを含み、その比率がおおよそ70:30の合金です。七三黄銅とも呼ばれています。特徴は、展延性や絞り加工性・めっき性に優れていることです。

黄銅2種(C2680)

黄銅2種(C2680)も銅と亜鉛だけを含む合金で、その比率はおおよそ65:35です。六四黄銅とも呼ばれています。展延性・絞り加工性・めっき性に優れています。

黄銅3種(C2801)

黄銅3種(C2801)も銅と亜鉛だけを含み、その比率がおおよそ60:40の合金です。強度が高いため、部品の材料としてよく用いられます。

快削黄銅(C3713)

快削黄銅(C3713)は、さきほどの黄銅3種(C2801)に鉛を添加したものです。鉛の添加により、切削性が向上しているのが特徴です。

 

銅合金の主な用途

銅合金は、家庭用や産業用など分野を問わず、多くの製品に使われています。具体的な用途を見てみましょう。

 

なお、純銅もこれらの用途で使用される場合があります。

 

用途 具体例
キッチンまわり 鍋やフライパン、ケトルなどの調理器具

抗菌作用を活かした三角コーナー

配管設備 パイプやバルブ、継手など
家庭用電化製品 エアコン:配管、熱交換器など
金属工芸 燭台や花瓶、シャンデリアなど
建材 屋根材、ドアノブや手すり、階段のトリム材など

 

このほか、楽器などでもよく目にします。さらには、以下のような極小・微細なものにも使用されています。

 

用途 具体例
家庭用電化製品の部品 テレビ:プラグ、スイッチ、シールドなど

DVDプレーヤー・オーディオ:電源IC、ダイオード、トランジスタなど

ノートパソコンや携帯電話:銅合金線、レギュレータICなど

ゲーム機・デジタルカメラ:低消費電流ICやバッテリ逆接防止用ダイオードなど

自動車 配線・センサー、ブッシュなどの部品

 

中でも家電の部材や自動車の部品においては、精度の高い加工も求められます。

 

純銅・銅合金を加工するには?

この章では純銅および銅合金の加工方法について解説し、各方法を比較します。

純銅および銅合金の一般的な加工方法としては、以下の方法が挙げられます。

・切削加工

・曲げ加工などのプレス加工

・レーザーやワイヤーによる切断加工

・ウエットエッチング

 

順番に解説します。

切削加工

切削加工は、金属加工物(ワーク)を刃物で削りとって穴をあけたり所定の形状に加工したりする方法です。刃物もしくは加工物のどちらかを回転させ、相対的に刃物がワーク上を移動するようにしてワーク表面を削り取ります。

曲げ加工などのプレス加工

プレス加工はその名の通り、プレスによりワークを曲げたり切断したりする加工方法です。切断の際に所定の形どおりの金型を利用して所定の形にくり抜くことも可能です。

 

レーザーやワイヤーによる切断加工

レーザー加工は、レーザー光によってワークを融解させて穴あけや切断をする加工方法です。レーザー光を調整すれば彫刻のように彫りを施すことも可能です。レーザー光で加工することから繊細な加工が行えます。切断箇所などのバリやワークが反ってしまうことが少ないのも特徴です。

ワイヤーによる切断加工は、放電加工のひとつであるワイヤー放電加工という方法で行います。真鍮などのワイヤー線に電流を流して、このワイヤー線を糸鋸のように使って加工物を溶融させながら切断する方法です。

 

ウエットエッチング

ウエットエッチングは、金属が薬品で化学的に溶解される現象を利用して加工を行います。溶解する部分を決める保護層(マスキング)の細かさで加工の細かさを決められるため、非常に微細な加工が可能です。加工によりバリや歪みが発生しないという特徴もあります。

 

加工方法の比較

これまで述べた加工方法の中で、微細加工を行う方法としては、ウエットエッチング、レーザー加工、切削加工が好適です。

これらの特性を比較すると、以下の通りとなります。

 

  ウエットエッチング レーザー加工 切削加工
コスト(少量生産)
コスト(大量生産)
納期(少量生産)
納期(大量生産)
量産性
イニシャルコスト ◯(安価) ◎(不要) ◯(安価)
バリ・歪みの発生頻度
微細・多穴加工
極薄材

各加工は、このような特性を持ちます。

純銅および銅合金は金属の中でも柔らかい部類なので、切削は比較的容易です。しかしながら、柔らかすぎる上に粘り気もあり、切断面が伸びてしまいます。そのため、断面をきれいにカットするのが難しいといわれています。つまり、純銅や銅合金を切削加工するには高い技術が必要です。

また、純銅および銅合金は光沢が強いため、加工用のレーザーを反射してしまう恐れもあります。レーザーを反射すると、装置が破損する場合もあります。

これに対し、ウエットエッチングは機械的な加工を行わないので、上記のような問題が生じません。続いて、ウエットエッチングの工程について詳しく解説します。

ウエットエッチングとは

ウエットエッチングは、金属が薬品に溶解する現象を利用した金属除去方法です。例えば、金属板に丸い穴を開けたい場合は、穴を開ける部分以外を溶けないように保護します。そして、保護されていない露出している金属部分だけを溶解して穴を開けます。

詳しい工程は、以下の通りです。

  1. パターンフィルム(露光用原版)を作成する
    パターンフィルムは、エッチング加工する金属板に保護膜を作成する際に被せるフィルムです。フィルムには、作成するパターンと同一の形状が作製されています。例えば、金属板に丸い穴を開けたい場合は、所定の位置に丸い穴パターンがあるフィルムを作成します。
  2. 金属板の準備・前処理をする
    金属板表面をきれいにして後工程のフォトレジストの密着度を高めます。
    具体的には脱脂や酸洗および水洗などを行い、金属板表面に付着している油分やほこりを取り除くとともに、金属板表面を活性化させます。
  3. 金属板の上にフォトレジストを成膜する
    例えば、フィルム状のフォトレジストをラミネートしてフォトレジスト層を成膜します。
  4. パターンフィルムをフォトレジストに被せる
  5. フォトレジストを露光させてパターンフィルムの形状を転写する
    フォトレジストに光を当てると、パターン形状通りに露光されます。
  6. フォトレジストを現像する
    現像すると、フォトレジストで覆われていない部分の金属面が露出します。
  7. 薬品で溶解する
    金属板の露出している部分を薬品で溶解し、除去します。
  8. フォトレジストを除去する
    金属板を保護していたフォトレジストを除去し、所定のパターンが形成された金属板を取り出します。
  9. パターンが形成された金属板を洗浄および乾燥する
    金属板の洗浄・乾燥を行うとともに、品質検査を実施します。

以上のような工程を経てウエットエッチングによる加工が行われます。

工程をみてわかるように、ウエットエッチングでは機械的な加工を施しません。そのため、レーザー加工や切削加工のような不都合は生じません。

 

純銅・銅合金のエッチング加工なら株式会社ケミカルプリント

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まとめ

今回の記事では、純銅および銅合金の特性、加工方法としてウエットエッチングを利用できることを解説してきました。特に微細な製品や高精度な形状の加工、高精度の表面粗さが求められる加工の場合にはエッチング加工が非常に有用です。

純銅および銅合金の精密加工にお悩みの方、一度ウエットエッチングでの加工をご検討なさってはいかがでしょう?

その際には、60年にわたってエッチング加工を行ってきた信頼のおける株式会社ケミカルプリントに相談してみてください。きっと、あなたのご期待に応えられると思います。

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